待望の合宿初日。最初の舞台は、牧歌的な雰囲気に包まれた成田ゆめ牧場。設立は以外に古く、1884年だ。
夢のような時間も終わりに近づいた頃、メンバーから漏れた言葉は、「童心に帰った。」
天候はあいにくの雨。傘を持っていると手話が片手でしかできないというデメリットもある。
しかしながら、巨大なものの威厳とは、悪条件の中でこそ際立つということがままある。
雨で視界が優れない中、広大な山の中に忽然と現れる秀麗な仏教建築。
聞けば、一千年以上も前に創建されたそうだ。信仰を集めるのも納得の出で立ちであった。
傘を持っているにも関わらず手話通訳を敢然と試みる代表の姿は、寺にも劣らず格好良かった。
雨の中、山歩きをしたのだから、メンバーは疲労困憊である。
博物館のロビーにあるソファに座ったら動けなくなってしまうのではないか、そんな心配は無用であった。
皆展示に見入っていた。良い意味で期待を裏切られた。展示の質もさることながら、注目すべきはその量。
6つに分かれているコーナーを全て回りきることは、至難の技であったろう。
この合宿の、まさにメイン。地元成田の手話サークル、こばとの会の皆さんとの交流会である。
こばとの会は、幅広い年齢層が所属する地元の手話サークル。交流会には、こばとの会に参加している
ろう者だけでなく、地元の大学生の方も参加していただき、千葉県の地名の手話表現クイズや
グループに分かれて手話でおしゃべりなど、大いに盛り上がった。
一年生は、ろう者の方の手話読み取り経験がほとんどなく、苦戦すること甚だしかったと思うが、
先輩や地元の通訳の方のおかげで、会話を楽しむことができた。
成田と言ったら、何と言っても飛行機。空港近くの航空科学博物館を見学した。
実物を多く展示しているのは、ここ成田だからこその特色だろう。
解説員の方のパワフルな説明を手話訳する役目を任ぜられた先輩は非常に大変そうだった。
中には、映画の撮影に使われた模型や飛行機の操縦シミュレータなどというのもあり、充実した内容であった。